金制度改正法のポイント

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次期改正のポイント

社会保障審議会年金部会では、次期改正に向けて、様々な論点について議論が進められています。このうち、被用者保険のさらなる適用拡大と、基礎年金の給付水準の引き上げが大きな論点となっています。

被用者保険のさらなる適用拡大

被用者保険に適用される被用者の範囲をさらに広げていくため、短時間労働者の被用者保険の適用有無に関わる、企業規模(51人以上)、労働時間(週所定労働時間20時間以上)、賃金(月額8.8万円以上)、学生除外の4つの要件について、見直し・撤廃に向けた議論が進められています。また、個人事業所に関わる、非適用業種や常時雇用する人数の要件についても、見直し・解消に向けた議論が進められています。次期改正において要件の見直し・撤廃がどこまで進むのか、注目すべきポイントです。

さらに、適用拡大により、いわゆる「収入の壁」がどこまで解消するのか、についても注目されます。社会保険の被扶養者には年収130万円未満との要件があり、「130万円の壁」と言われますが、自ら勤務先で厚生年金保険に加入すると、たとえ年収130万円未満であっても、社会保険の被扶養者、つまり3号ではなくなるため、適用拡大が進めば、いわゆる「収入の壁」は解消に向かうことになります。

いわゆる「収入の壁」のイメージ

基礎年金の給付水準の底上げ

2019年財政検証と同じく、2024年財政検証(過去30年投影ケース)では、厚生年金(報酬比例)のマクロ経済スライドは2026年度に終了する一方、国民年金(基礎年金)は2057年度まで続くとの結果が示されています。

基礎年金の給付水準を引き上げるには財政基盤の強化が必要であり、国庫負担割合の引き上げや拠出期間の延長などの選択肢が考えられます。また、年金部会では、国民年金(基礎年金)と厚生年金(報酬比例)のスライド調整期間を一致させる案についての議論も行われています。

連合の考え方

被用者保険の適用拡大については、将来的にすべての被用者への被用者保険の完全適用をめざすことを前提に、少なくとも次期改正において、企業規模要件や個人事業所に関わる要件の撤廃を求めています。

また、基礎年金の給付水準の底上げについては、現在1/2である基礎年金の国庫負担割合の引き上げ、現在40年である拠出期間の延長により財政基盤を強化し、基礎年金の所得代替率を引き上げることを求めています。

なお、マクロ経済スライド調整期間の一致については、社会保険の適用拡大や保険料拠出期間の延長を優先して取り組むとともに、障害厚生年金受給者、一定期間年金水準が低下する可能性がある受給者への影響、厚生年金の独自給付の今後の改正による基礎年金への影響などについて丁寧に検証し、拠出者の納得性と合理性を追求するべきと考えます。

その他の論点

年金部会では、第3号被保険者制度、障害年金制度、遺族年金制度、在職老齢年金制度などについても見直しの議論が進められています。背景には、年金制度が抜本改正され、基礎年金や第3号被保険者制度がつくられた1980年代と比べて、働き方やライフスタイルの多様化、高齢期の就業率の向上など、情勢の大きな変化があります。見直しにあたっては、人々が支え合い、リスクに備える社会保険である点を大切にしつつ、若年層が年金給付のイメージを持ち、納得して保険料を支払うことができるよう、働き方やライフスタイルなどに対応する視点が重要です。連合としては、全被用者への被用者保険の完全適用、第3号被保険者制度廃止について組織討議を行い、10月18日開催の第13回中央執行委員会で考え方を確認しました。今後、次期改正に向けて、年金部会において連合が考える年金制度の実現に向けた意見を述べていく予定です。

また、若年層の年金制度に対する関心の低さも課題であり、2024年3月に実施した「年金に関する調査2024」では、20代の41%が「今の公的年金制度に関心がない」と回答しています。年金は生活に直接影響する身近な制度であり、正しく理解することはとても重要です。